コアラ

思春期〜大学生くらいの時に、同じものばかり食べて生きることに憧れた時期がありました。

なんでしょう、食べ物に対するそっけない態度、低体温、低血圧な感じ、というのが血気盛んな年頃には格好良く映ったのでしょうか。

たとえば青白い顔のアンディウォーホールさんが、豆の缶詰めばかり食べてたと何かで読んでめちゃめちゃかっこいいと思ってたし、当時カリスマ的人気を誇っていた椎名林檎さんが雑誌のインタビューで「昔から、食べることに興味がないんです」なんて言うのを読んで痺れていました。

やっぱり偉大な芸術家は食欲に心乱されたりしないんだろうなー。と、チョコレートやプリンやアイスに心ときめいてしまう自分を卑しく思ったものです。

まぁそんな青臭い時代はとっくに過ぎ去り、今じゃこってりしたものがたらふく食べたくても、すっかり胃が受け付けなくなってしまいましたが。

そんなことをふと思い出したのは、こいつを刺繍したせいです。
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そう、自然界最強の偏食王、コアラさんです。
ユーカリの葉っぱしか食べない、それも600種類もあるユーカリのうち、数種類だけを好んで食べるという徹底ぶり。
しかもユーカリの葉には、他の動物にとっては毒となる成分が含まれているため、2mもある盲腸で解毒して食べるんだとか。そこまでして。
さらに、ユーカリだけでは摂取カロリーが低いので、一日20時間くらい眠って体力を温存するそうです。
で、起きている間はひたすらユーカリを食べていると。
ここまで来ると、食に対して淡白というより、逆に怖いくらいのこだわりですよね。
遠いオーストラリアの、ユーカリの木の上から1/3くらいのところで、ユーカリ以外の生き物とほぼ関わることなく生きている。
ユーカリ食べて、寝て、さくっと結婚して子供産んで育てて、またユーカリ食べる。
自分探しの旅や、骨肉の争いとは無縁に、ひっそり静かに。人生の大半は夢の中。

いろんな物に心乱されながらわたわたと生きている私は、そんなコアラさんの、ひたすら省エネで一本筋が通った生き様に、やっぱり憧れてしまうのでした。

コアラさん刺繍はパンツになり、穏やかで一本筋の通った、なんとなくコアラを彷彿とさせるナイスミドルの元へ嫁いだのでした。
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コアラさん、お元気で。私もあなたを見習って、大事なものだけのシンプルな生活、しようと思います。
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by junocchi | 2013-09-10 23:36 | 刺繍 | Comments(0)