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街なか暖簾展

今回の結い市では新たなプロジェクトがいろいろと企画されていたのですが、そのうちの1つがクリエーターと結城の商店街・地域住民を結ぶというコンセプトのもと実施された、『街なか暖簾展』。
このプロジェクトに、junoも参加させていただきました。

今回、9人の商店主と8組のアーティストが参加した街なか暖簾展。アーティストなんて肩書きはちょっとくすぐったいですが、とにかく。そういうわけで、junoは明治41年建築の建具屋さん、『会津屋本店』の暖簾を作る事になりました。
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お店の中には、大きさも形もさまざまな、鏝(こて)がずらり。それにシャベルや長靴など、左官をするための道具がたくさんありました。
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暖簾のイメージが沸きそうなものをいろいろと見せてもらいます。このハッピは代々つたわっているものだそう。暖簾の真ん中には、このマークを入れることに。
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これは、お家の家紋だそうです。これもなにかにつかえそう。
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なにしろ初めてのプロジェクト。お店の方も、歴史あるお店の暖簾が、こんなよそから来た自称アーティストにどうされてしまうんだろう?と不安だったかもしれませんし、junoにしたって左官なんてしたこともなければ暖簾を作るのも初めて。正直、お互いとまどいを隠しきれずにミーティングは進んでゆきました。


1度ミーティングをしたくらいでは、とうていお店のことを深く理解するなんて無理だし、どうしたもんかと思いつつも、デザイン案を考えなくてはなりません。

悩みに悩んでひねり出したアイディア3つはこんな感じ。

まずは、ごくごく分かりやすく、お店の看板代わりになるような、中の商品をイメージさせるデザイン。真ん中に紋をはっきり、まわりの左官道具は地の色と同系色で。
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二つめは、自分の得意分野であるお花をデザインしたもの。『会津屋』という屋号の通り、福島県にルーツを持つお店なので、右手に福島県の花であるネモトシャクナゲ、左手に結城市の花であるユリをあしらって、お店のルーツと、現在は結城市にしっかりと根をおろしていることを表しています。
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そして3つ目は、ものづくりの喜びにあふれた浮世絵風の人物をあしらった、お店の歴史と職人の誇りがテーマのデザイン。
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これを結いプロジェクト実行委員会の野口さんに送って、お店の方に選んでもらうことに。
ドキドキしながら待つこと数日、会津屋さんのご希望は、3番目のデザインを少し変更したものだとのお返事が。

このデザインなら、暖簾の生地は藍と決めていました。暖簾にも白やえんじや緑色など、いろんな色がありますが、藍染めの暖簾は堅実さを表しているそうで、これは代々続くこのお店にぴったりだと思います。

デザインが決まったらひたすら制作へ!まずは真ん中の紋に取りかかりました。いつもは適当にしてしまうサテンステッチも、脈々と連なるお店の年月を思って、なるべく目をそろえて刺しました。
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真ん中が完成したところ。なかなかカッコイイではないですか。
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筆文字もきっちり厳かに。剣道着の垂れネームの画像を何度も検索して、筆っぽく見せる刺し方を研究したりもしました。
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人物には家紋入りのハッピを着せて。意気揚々と左官している感じを表現できているかな?野良猫を登場させて、親しみをプラス。
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そして完成した暖簾!シンプルなデザインではあるのですが、これだけの大きな刺繍をするのには案の定ものすごく時間がかかって、友達とご飯に出かける時も、イベントの時も、とにかくどこへでも持って行って、少しでも時間があれば刺繍していました。無事に完成してよかった。
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どうですか?会津屋さんの佇まいに馴染めているかな?
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junoの他にも、判子の江連さんやだるま作家の武藤さん、結城市出身の画家のしょうこちゃんや書道の方などなど、本当に個性豊かな暖簾が結城の街を飾りました。
私の暖簾は1番地味だったけど、1番表現したかった堅実さや地道さ、ものをつくりあげていく喜びが表現できて満足でした^^なにより会津屋さんが喜んで下さったと聞いた時は本当に報われた気持ちで幸せいっぱいでした。

8人が8通りの思いを込めて作った暖簾、きっと結い市が終わってからも結城の老舗を飾っているのではないかと思います。あなたもぜひ、結城の街へ行ったときはひとつ、暖簾を巡るお散歩を試みていただけるとうれしいです。

このプロジェクトによって、より一層結城市を身近に感じることができました。貴重な体験をありがとうございました!そして、大切なお店の軒先を貸して下さった会津屋本店の皆様、私の言葉足らずな部分を補い、会津屋さんのご希望を分かりやすく説明してくれ、間を取り持って下さった結いプロジェクトの飯野さん、野口さんには本当にお世話になりました。ありがとうございました^^











by junocchi | 2014-10-20 20:43 | 刺繍